ひらののトピックス/2007年5月 2007年5月11日(金)@全興寺 ライブレポート!
  本誌5月号の特集「平野町ぐるみ博物館」の記憶も新しい、平野本町にある全興寺。
5月11日(金)PM7:00より、一風変わった(失礼!)イベントが開かれました!
それはノイズのイベント(ライブ)…ノイズ?
(まあ何かとキチンとジャンル分けを行いたい日本人気質ゆえ、敢えて“ノイズ・ライブ”とさせて頂きます。あしからず…)
この日、4アーティストによる前衛音楽の宴が全興寺本堂内特設ステージにて催されたのです。
実際、私もノイズ初体験でありまして…正に「異次元ライブ」と言いましょうか…。
オーディエンスの方々の年齢層も幅広く、その道の方とおぼしきお兄ちゃんからお歳を召した方々までいろいろいらっしゃいました。
そしてその聴き方も様々!
各アーティストのパフォーマンスを食い入るように見ている人、瞑想しながら一人の世界に入る人、関係者らしくそのパフォーマンスを温かく見守る人など様々…。
そこには決まったリズムもメロディーも無い、全く形にとらわれない自由な“音”をコンピューターで表現する「ノイジシャン」の姿がありました。

今宵の各ノイジシャンの相棒達(楽器)

TOPバッターと案内役を務めた石上さんによるソロ・パフォーマンス
 まずTOPバッターはこの日のイベントの案内人をも務められた石上和也さんのパフォーマンスからスタート!
テーマは「輪廻転生」。まるでラジオのチューニング時の音のようなノイズ音がループし、空間を“Ishigamiワールド”に誘っていく…。
徐々にトランス状態に落ちていく様な、不思議な感覚とともに脳みそが今まで受けたことの無いような刺激を受け、覚醒していく様な、そんな感覚になっていきました。
石上さんは「この場所(お寺)もあって、イメージは過去から未来へと永遠に続いていく生命の営み・育みのサイクルを表現しました」と話します。
因みに私は“新たな生命の始まりとその終焉までの道程”と感じたので、あながち間違ってないですよね!?
そしていい頃合に場の空間が異次元(多次元)にTRIPした頃、米国出身兵庫県在住のMIKE SHIFLETさんが登場。
自ら「GMBY Records」というレーベルを運営し、ノイズや即興系アーティストの作品を数多くリリースしているノイジシャンであります。
石上さんとはまた違い、至極スペーシーなノイズ音が本堂に響き渡り、目を閉じると未知なる宇宙空間がその先に広がるようでありました。(矢追さんもビックリ!?)
   マウスをクリックしながらも“音”を体感しながらパフォーマンスしていた姿がとても印象的だったMIKE SHIFLETさん。
因みに石上さんのパフォーマンス終了後、私が会場となる本堂の出入り口でボーっと突っ立っているとマイクさんに「スミマセン」と声をかけられてしまいました…。(あっ、邪魔だったのね・・・すんません)

「Rhythm Massage」(リズム・マッサージ)by Ryonin Kwaguchi(川口良仁)
リズム・マッサージとリズム・メッセージの両方の意味がかかってんのかなぁ・・・(考え過ぎ?)
 イベントも中盤に差し掛かり、いよいよ全興寺、川口住職さんによるソロパフォーマンス!(個人的には一番楽しみ♪)
以前に少しお話させて頂いた折、川口住職曰く「何をするかは秘密(笑)」とおっしゃっていただけにもう興味津々!
真っ暗な会場の中、奥から川口さんが大層に風呂敷(?)で覆った何かを両手に抱え登場!
ピンスポットに照らされた場所へそれを置き、風呂敷を取ったところ…皮製の椅子の様なものの上に何やらカラフルでチープな造りの物体がっ!?
その正体はマッサージ器の上に置かれたベイビーTOY、そうオモチャなのです!
マッサージ器が規則正しく、シーケンス的にモミ・叩き等の動きをする度、その振動でオモチャのマラカスみたいなその物体が繰り返し“音”を発し続ける…。
な、なんてシュールなんだっ!
仕掛けは何て事ない単純なハズなのに、何故だかアートに感じてしまう…正に人を喰ったかのようなこのパフォーマンス!
正直、してやられました…想像以上の裏切り!肩透かしを喰らったようでもあり(笑)
しかしながら少し緊張感のあった空間が、このパフォーマンスで和んだのも事実。
因みにこの曲(パフォーマンス)のタイトルは「Rhythm Massage」(リズム・マッサージ)との事。なるほど、マッサージねぇ…。
川口さんのソロ・パフォーマンスで空間が緩んだところ(笑)、今回初来日を果たしたドイツ人女性アーティストXyramat(サイラマット)さんが登場。
“80年代に「Devantgarde」というインダストリアルバンドで活躍”との事。(当日配布のフライヤーより)
私自身、何分「インダストリアルバンド」と聞いても「ミニストリー」ぐらいしか思い浮かばないもので…。(多分、じぇんじぇん違うんだろうな…)
ご本人さんはこの日のパフォーマンスを「POPなもので…」みたいな事をおっしゃっておりましたが、確かに様々なノイズがサンプリングされたものの中に、ドイツ語(?)で歌っている女性の声やメロディーなどもあって一番とっつき易かったかも?なんて…。
ある意味、ノンジャンル・ボーダレスなこれらの表現はド素人のワタクシには斬新でとても刺激的なのでありました!(個人的にはリア・ディゾンより、よっぽど衝撃的!)
またサイラマットさんはDJとしても活躍されているそうなので、そちらのパフォーマンスも是非見てみたいっ!(山本精一をイメージしちゃうんだけど、これまたじぇんじぇん違うんだろうなぁ〜)

祝!初来日!!Xyramat(サイラマット)さんによるパフォーマンス
何か有機的な“生活臭さ・人間臭さ”みたいな感じを受けたんですが…(これが彼女曰くPOPという事なのだろうか…)
さて、この日のイベント(ライブ)レポートを徒然なるままに書き殴って参りましたが、いよいよ“トリ”のアーティストの登場であります!
全興寺住職 川口良仁&杭全神社神職 山田憲司 両氏によるスペシャルデュオ、演奏曲は「DUO笙」! 「笙」…そう雅楽で使われているアレです。
イメージからすると宮廷音楽、神社系の音楽のような気がするのですが、本来は大陸より仏教伝来とともに入ってきた音楽だそうであります。
(合奏形態の伝統音楽としては最古の様式とも!)
演奏が始まるや否や今までとは空気が一変!本堂内にミニ・パイプオルガンの如く響き渡る音色に悠久の時を感じざるを得なかったのです!(シチュエーションもバッチリだしね!)
両者の前に置かれた蝋燭の明かりの中、妖しくも深い音は互いの音が共鳴し合い、交じり合う際のハーモニーが荘厳な雰囲気を醸し出し、森羅万象全てを包み込む事に成功したような感じでありました。
ただただ、その音色に聞き入ってしまって…。

この日見事な音色を聴かせて下さった寺院住職と神社神職によるありそうでなかったDUO!
(また是非聴かせてもらいたいものです!)

全興寺住職 川口良仁さん
笙の音色に魅かれ、1年前より山田さんに師事。

杭全神社神職 山田憲司さん
「仕事として演奏する事はあるのですが、このようなイベント(ライブ)で演奏するのは初めてなんです」

笙の竹管に付いているリード。
因みに「笙」は17本の細い竹管が円形に配置されており、一本ずつ計17個のリードが付いているんだって!
また構造上、楽器を暖めながら演奏しないと音が狂ったり、出なくなったりするそうであります。
なるほど、だから傍らには火鉢が置いてあるのか…。(やっぱ楽器ってデリケートやね!)
普段の生活の中なら単なる「雑音」でしかないこれらノイズ音と正面から対峙した時、空間の渦を感じながら、デジタル的に創られた音がとてもアナログに感じられたのです!
川のせせらぎ、バイオリンの音色等、いろんな「癒し」をキーワードに垂れ流し的な状況で飽和状態とも言えるヒーリングミュージック。
現代人は多くの機械に囲まれて生活している事を考えれば、これらが発する様々な音=ノイズに敢えて浸ってみるのもこれまた“癒し”なのかも?と思ったりもして…。
安易で商売臭いコンビニエンスな音楽が氾濫する中で形式にとらわれず、自由に自分の“音”を表現する彼ら「ノイジシャン」達は現代の“スナフキン”に違いない!!と結論づけるに至ったのでありました。

全興寺
6791-2680
平野本町4-12-21

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